荼吉尼天を倒す為、現代の鎌倉へとやって来た私達――けれど白龍の力は失われたままで、異世界「京」へ皆を帰すことができない。(もう帰さなくても良い気がするけど)
とりあえず白龍が力を取り戻すまでの間、皆は有川家の居候になることになったんだけど…。
譲「…いいですか、皆さん」
物陰に隠れたまま、譲くんが深刻そうな顔で言った。
譲「この世界には、警察と呼ばれる人達がいます。その人達の姿を見たら、すぐに逃げて下さい」
九郎「何だ、それは。敵なのか?」
譲「いえ…でも、今の俺達にとっては似たようなものです」
将臣「ま、この格好だと不審がられてしまうだろうからな」
望美「コスプレってことにしとけば良いんじゃないかな」
譲「でも、まず銃刀法違反で捕まってしまうでしょうね」
将臣「とりあえず、うちまで走っていくしかないな」
ってことで、私達は有川家まで走ることにした。
将臣「よし、皆俺についてこい!絶対に遅れるなよ!!」
全員「オォ~ッ!!」
ダダダダ――!
警察「あ。ちょっと待ちなさい、君達」
景時「え、何?俺達のこと~?」
譲「ち、近付いちゃ駄目だ、景時さん!その人が警察だよ!!」
景時「えっ…し、しまった…!!」
朔「兄上…!!」
バシッ
警察「…っ」
九郎「怪我はないか、景時!?」
景時「九郎…!?」
九郎「こいつらの相手は俺に任せろ!お前達は早く逃げるんだ!!」
将臣「お、おい、何やってんだ、九郎!?お前も早く…」
九郎「俺のことは構うな。敵前で逃亡するなど、どのみち俺にはできんのだ…!」
リズ「…私も残ろう…」
望美「九郎さん、先生…!」
リズ「問題ない…」
将臣「ちっ…死ぬなよ、九郎、リズ先生…行くぞ、皆!」
望美「九郎さん、先生…!!」
弁慶「諦めて下さい、望美さん…あの二人は、もう…」
望美「そ、そんな…いやあぁぁぁ…!!」
九郎とリズ、脱落。
ヒノエ「わっ…何だ、この鉄の塊は!?」
譲「危ない、ヒノエ!それは車だよ!!」
ヒノエ「車…?これが…?」
将臣「お、おい、道路に飛び出したら危ね…っ」
キキィ~…ガシャンッ
望美「ヒノエくん…!」
ヒノエ「だ…大丈夫だよ、俺の姫君…泣かないでおくれ…お前に涙は似合わないよ…」
望美「ヒ、ヒノエくん…」
ヒノエ「ふっ…俺としたことが…不覚だったね…早く逃げるんだ、神子姫…」
望美「で、でも、ヒノエくんを置いてなんて逃げられないよ…!」
景時「…どうやらその鉄の塊は、あの青やら赤やらに点滅するものの指示には従うようだね…あるいは、同じ光を放つことができれば御することができるかも…」
譲「景時さん…何を…?」
景時「ここは俺に任せて。何とか鉄の塊の動きを止めてみせるよ」
バシュバシュッ
将臣「おい、景時!そんな信号機の真似なんかしても車は…」
キキィ~…ガシャンッ
弁慶「景時…!」
景時「くっ…やはり駄目だったか…俺に構わないで、早く逃げるんだ、皆…」
朔「兄上ぇ…!」
景時「朔…ごめんね、頼りない兄で…」
ヒノエと景時、脱落。
将臣「くっ…これ以上犠牲を出してはいけない…」
白龍「あ。見て見て、神子。人がいっぱいいるよ」
譲「はっ…い、いけない…この時間帯はちょうどタイムセール…!!」
白龍「わぁ~良い匂いがするね。あ、これは神子の大好きなお団子の匂いだ。ちょっと待ってて、神子。神子の為にお団子を貰ってくるよ」
弁慶「あっ…待ちなさい、白龍…!」
店員「おい、何だこれは?」
白龍「え?それはヒノエから貰った銅銭だよ?」
店員「あのなぁ、こんな玩具で団子を買えるとでも思ってんのか?ちゃんと金を出せよ、金を。ほら、105円」
白龍「私は持ってないよ」
店員「何だと…?警察呼ぶぞ!!」
敦盛「白龍!早く逃げるんだ…!!」
望美「敦盛さん!?」
敦盛「ここは私に任せ…わわっ…」
白龍「も、物凄い人集りだよ…逃げられない…み、神子…!」
望美「敦盛さん!白龍!」
敦盛「(だ、駄目だ…意識が遠のく…)グ…グアァ…グワアァァァ…!!」
店員「ひぃっ!?ば、化け物だ…!!」
望美「あ、敦盛さん…!」
将臣「駄目だ、望美!もう手遅れだ!!今のうちに逃げるぞ!」
望美「でも、敦盛さんと白龍が…」
白龍「神子…逃げて…!!」
敦盛「(この呪われた力で、神子を守る…!)」
白龍と敦盛、脱落。
弁慶「結局、僕と将臣殿と譲殿と朔殿と望美さんだけになってしまいましたね…」
将臣「…ああ」
弁慶「何とかここまで来られましたが…あれほどの犠牲…さすがの僕も、挫けそうです」
望美「弁慶さん…」
弁慶「大丈夫ですよ、望美さん。ふふっ、君は優しい人ですね。誰の苦しみも君は感じ取ってしまうのだから。…おや?あれは…」
望美「ああ、あれですか。あれは船ですよ」
弁慶「船?こちらの世界の船は、僕達の世界とはだいぶ違いますね」
望美「ええ。おまけに、人がたくさん乗れるんです」
将臣「あのサイズの船なら、ざっと1000人くらいは乗れるんじゃねえかな?」
弁慶「1000人も…それは…燃やすのが大変そうですね」
一同「!?」
弁慶「ちょっと行ってきます…」
将臣「ちょっ…待っ…」
弁慶、脱落(?)。
譲「…どうするよ、兄さん」
将臣「どうするって…」
望美「ねえ…私、ふと思ったんだけど、タクシー使えばよかったんじゃないかな…」
将臣「……」
譲「……」
望美「こうなったら…逆鱗の力で、皆がまだ無事だったときに…」
時空飛躍~。
the end
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なんかもう疲れました。ので、中途半端ですがこれでお終い。
何なんだこの展開は一体。
ところで、誰が一番可哀想って、そりゃヒノエくんだろ。痛いよな。