『BLOOD+』を最後まで観終わりました。
んで、その感想を。
ソロモン、こんなにもあなたが愛しいなんて。
私の心は、彼の虜になってしまいました。確かに、初登場時から彼はこのアニメで私が一番好きなキャラではあったけれども、実際に『BLOOD+』を最後まで観た今、愛はますます深まりました。と同時に、喪失感も途轍もなく大きいです。
ずっと好きだと思っていて、でも実はその程度じゃなくて、彼の正の部分も負の部分も全部ひっくるめて彼の一部だということに漸く気付いて、彼のどんな面も愛せる、愛していけると自覚した瞬間に、彼は死んでしまった――。
気付くのが遅すぎた。自分の鈍感さに呆れてしまう。
大切なものは、失ってから気付くものだ――とはよく言いますが、その言葉を今ほど切ないくらいに身に染みて感じたことはありません。
永い時をシュヴァリエとしてディーヴァと共に生き、自分の全てを捧げてきたソロモン。けれどディーヴァの宿敵である小夜と出会い、彼の運命は大きく変わりました。彼女の血が自分を殺すと分かっていても尚、彼女を愛せずにはいられない。ただ彼女と二人で生き、世界の美しさを彼女に伝えることだけが、夢。拒まれても想いに変わりはなく、自分の気持ちに応えてくれないと分かっていても、焦がれてしまう。共に生きてはいけないと頭では理解している筈なのに、彼女の為に、彼女の為だけに、自分の命をかけようとする――健気なまでの一途さに、私は心を奪われました。
ソロモンが小夜を連れ去るシーンなんて、ドキドキしっぱなしでした。小夜に対しては嫉妬の嵐が吹き荒れていましたが、彼女を求めてやまないソロモンの気持ちが分かるからこそ、切ないのなんのって。好きだからこそ、何もできない。傷ついていく彼女を見ていて、傷ついていない自分が痛みを感じてしまう。結局小夜はハジが奪還し、ソロモンはとり残されることとなってしまいましたが、一人ぽつんと夜の街に佇むソロモンの姿は、涙を誘いました。
彼の翼手姿は、別に嫌いではないけれど何で金髪?って疑問だけは感じていました。あんな姿で金髪――ちょっとやめてほしいかな、と。でも余裕で許容範囲内なので、文句を言ったりはしませんが。
話を戻します。本当に、ソロモンには涙を誘われっぱなしです。小夜をどれほど求めても、彼女に受け入れてもらえなくて。自分は小夜の為にディーヴァのシュヴァリエとしての立場を放棄して、富も栄誉も家族も喪失して、それでも自分を信じてくれない小夜を少しは恨んでも良い筈なのに、恨み言の一つも言わなくて、ただ小夜の為だけに命をかけ続ける――。
でも、失恋のショックで自暴自棄になってしょげているソロモンは、なんか面白かった。可愛くて。
傷つけられても、痛みつけられても、小夜への想いだけは貫き通す――あぁ、なんて想いが深いの、ソロモン。タミさんドキドキしっぱなし。
血を殆ど抜かれた状態で、ジェイムズに襲われていた小夜を助けに来たソロモン。その際事故で(なんちゅー悲劇)小夜の血液に冒され、それでもまだ戦い続けて、何とかジェイムズを倒した後、小夜の足元に跪いたシーンは、とても印象的でした。
「何かがあれば、僕を呼んで…」
そのようなことを言って、小夜の前から姿を消すソロモン。そして、暗い路地裏で、ひび割れていく自分の身体を見ながら、それでも小夜を恨む気持ちはこれっぽっちもなく、突然その場に姿を現したアンシェルに対しても、小夜の為に刃を向けようとし、けれど結局叶わず、息絶えてしまいます。
報われないことの辛さ、悲しさ。それが、妙に印象深くて、切ないです。
何故ああも献身的になれるのか。愛の深さ、想いの一途さ。純粋ですね。純粋すぎて、手を触れられない。そんな気がしてしまう。
あ。幽閉中のソロモンの、ちらりと見える腹にもときめきました。――って、何語ってんだ私は。
これもう感想とかじゃないよね。
『BLOOD+』の感想ね。ソロモンへの想いとかじゃなくて。
面白かったです。小夜一人だけの話じゃなくて、登場してきたいろんな人の話でもあるんだなぁーって。いろんな人の思いが集まって、『BLOOD+』という一つの物語が完成したんだなぁーって。
小夜の、自分の犯した罪を償いたいという想い。
ハジの、小夜の望みを叶えたいという想い。
カイの、家族を守りたいという想い。
ジョエルの、先祖から連綿と受け継がれてきた想い。
たくさんの想いがあるんだ、と。味方だけじゃなくて、敵にも。
ネイサンが最も謎めいていますね。黒幕である筈のアンシェルにさえ計り知れないところがあって、「SAYAにもまたシュヴァリエがいた…」という会話の中で、自分がそのシュヴァリエだったということを仄めかしているし。最後だって、小夜に殺された筈なのに記者に紛れて生きていたし。うん、ネイサンはSAYAのシュヴァリエだったに一票。
アンシェルはね、絶対最後までしぶとく生きてると思っていたよ。ただ、漫画とは違ってディーヴァを実験体として見なしていた…のかなぁ? まぁ、愛しき実験体ってヤツかな。実験体なんだけど、独り占めしたい――みたいな感じ。漫画では、実験体とかじゃなくてとことんディーヴァを独り占めしたいようだったけど。いずれにしても、単なるロリコンだね☆(手厳しい…)
モーゼスは…ソロモンに次いで好きなキャラだったんですけどね。まさかあんなにもあっさりと亡くなってしまうとは…正直言って、ショックを通り越して幻滅です。なんて無意味な自殺なんだろうって思った。死ぬ必要なんてなかったのに。どうせならカルマンを見送ってやって、ルルゥと一緒に生きてやればよかったのに。一人とり残されたルルゥが可哀想。でも、ま、カルマンとの友情も捨て難いしね。男の友情って熱いなぁーって思いました。でもね…。ところでモーゼスの声を聞いていると、どうしても敦盛さんを思い出すのですが。
あぁ、アニメの感想を書く筈が、気付けば途中からまた登場人物の感想になっちゃってる。
本当にね、面白かった。小夜は美味しい設定がされている筈なのに、どうも主人公にしては個性がないなぁーという印象を受けましたが。もっと自我が強くてもよかったのにね。あと、カイ。いつか胃に穴が開くよ。
そしてね、何といっても
やっぱりソロモンの死が長く尾を引きそうだ。
ソロモンが死んじゃったと思うと、胸が締め付けられます。彼の死を悼みます。本気で。本当に本気で。
でも完全に結晶化した姿を見たわけじゃないから、きっと生きていると信じています。いや、絶対生きてる。生きてるぞー。