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2024/11/22 15:35 |
リュシアス
○リュシアス
諸国を放浪する旅人だったが、実はマケドニア王の庶子で、アレクスの異母兄。サラを娼窟から救い出す。

サラやハミルの運命を大きく変えた張本人。悪く言えば諸悪の根源だが、彼の存在なくしてサラやハミルは「本当の幸せ」を知りえなかった――。
このリュシアス、めちゃくちゃ包容力のある人物です。誰からも好かれます(カシモフは例外)。その包容力には、サラもメロメロ。おかげでハミルからは嫉妬されますが、そのハミルさえもいつからかリュシアスに深い信頼を寄せることになります(それでもやはり、ハミルにとっては恋敵。反抗的態度は崩しません)。
ただの放浪癖のあるオッサンかと思いきや、何やら悲しい過去を抱えている模様。かつて陰謀によって失った妻の面影を引きずり、今に至っています。しかし過去に縛られたリュシアスですが、彼がサラを救ったのと同じように、彼もまたサラに救われます。初めのうちはサラのことが危なっかしすぎて放っておけず、守っていたものの、やがてサラを心から慈しみ、愛するようになります(そしてハミルのことも弟のように可愛がるものだから、ハミルにとっては皮肉なもんだ)。
サラを守る為、隻腕となってしまったリュシアス。サラとリュシアスの関係は恋愛感情では説明のできない、不思議な縁によって結びついたもので、まさに「運命」によって巡り会ったとしか思えません。これは同じ作者の『マリア』に登場するフリードリヒとマリアの関係に似ています。恋人や夫婦ではなく、家族や親子、同胞、半身と言った方が正しいのかもしれません。そういう不可思議な関係によって結ばれた人達がこの作者の作品にはよく登場します。
数奇な運命に翻弄され、束の間の幸福さえも無残に奪い去られていくリュシアス。慈悲深く、武人として優れながら争い事を好まない彼は、その性格ゆえに人生を終えることとなってしまいます。
サラがリュシアスの子を身篭ったとき、既にリュシアスは故人となっていました。生きる意欲を失い、自暴自棄となっていたサラを、ハミルが正気に目覚めさせます。リュシィという新たな希望を、リュシアスが若い二人に託してくれた――そう考えると、リュシアスの存在はやはりサラとハミルにとって、言葉では言い表せないほどに大切で、魂によって結びついたものだったのでしょうね。
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2006/10/02 22:42 | Comments(0) | TrackBack() | その他(小説)

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