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2024/11/22 21:43 |
利広

利広
奏国の太子。治世600年に及ぶ大王朝を築き上げた宗王・櫓先新の次男。卓郎君とも。二十代前半の青年の姿。恭国で昇山する珠晶と出会い、助ける。

私が思うに、

十二国一の爽やか青年キャラ。 齢600を軽く越しているが…。

極度の放浪癖があり、諸外国を行ったり来たりしている通称・放蕩息子。王宮に出入りするときは扉ではなく、窓を通るという難癖の持ち主。好青年で、常に微笑みを浮かべているというイメージを私は受けましたねー。第一印象が大変素晴らしい人物でありました。
頑丘とはボケ&ツッコミという感じで、この二人が芸能界デビューすればきっと売れると思うんだよね。(芸能界ないやん)いつも飄々としていて、しかし心の内を決して他者にひけらかさない。自らの思惑を隠しつつ、風のように生きる。

けれどそのような彼にも例外というものがあります。『帰山』で、傾きつつある柳国で偶然にも風漢という古い知人と再会した利広。この風漢、実は正体は尚隆なのですが、その彼に利広は心のわだかまりを打ち明けます。

滅びない王朝はないんだ――と。

悲しい一言です。盛者必衰、諸行無常。賢君と名高い先新は、治世600年という最長の王朝を築き上げた傑物なわけですが、それでもいずれ滅びるときが必ずやって来ることを、利広は知っています。勿論、現段階では自国に傾国の兆はないものの、その日が永遠に来ないことはありえない。利広は、平和な豊かな奏国もいつの日か必ず滅びるという苦痛を抱えて日々生きていたのです。こうして諸外国を行ったり来たりしているからこそ、傾国の苦しみがよく分かる。
恐らく、利広はそうした思いを家族には明かしたことがない。明かす相手は尚隆一人。
双方ともに、気が遠くなるほどの長い年月を生きた身で、なおかつ滅び行く王朝を今まで幾度となく目にしてきたからこそ、利広は尚隆の前で心の弱みを曝け出します。

図南の翼』では、捉えどころがなく、常に人より先を見据えていた利広。『帰山』は、そのような彼もやはり所詮は人なのだと痛感させられるエピソードでした。

『帰山』では『図南の翼』のときとは正反対にブルーな利広ですが、そのような彼に対し、尚隆はしっかりとした態度を見せます。あくまでも気丈に、利広よりさらに先を見据える尚隆。
太子と王の違いでしょうか――やはり尚隆の方が器が大きく見えます。(だからこそ利広は王に選ばれず、尚隆は王に選ばれた)
しかし、尚隆に全く不安がないというわけではないでしょう。太子とは言え、利広は自分よりも長く生きているわけで、長く生きることの苦しみも自分より大きい筈。

『帰山』は、生きることの苦しみについて考えさせられる作品でした。
 
 
 
 
 
 
 
 
ところで、私はこの帰山コンビが大好きです。

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2006/10/02 22:22 | Comments(0) | TrackBack() | 十二国記

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