麒
慶国の麒麟で、宰輔。薄い金髪、能面のような顔、二十代後半の男の姿。陽子を景王として選定。
ひとよんで、身勝手でため息ばかりの誘拐犯。でも好きです。不器用なところが。
あまりにも口数が少なく、麒麟のくせに他人の気持ちを思いやってやれなくて、先代の景王である予王舒覚を破滅させるほどに追いつめてしまった麒麟のくせに一番麒麟らしくないヤツ。
でも外見は美しいらしくて、舒覚は彼にぞっこん。そして私も彼にぞっこん。
『月の影 影の海』を読んだときは、「何コイツ!?何も知らない女子高校生に何の説明もせず、見知らぬ世界に一人置き去りにしてあとは放置かよ!?」と苛立ったものですが、読み進めていくうちに気持ちが激変。
好きになりました。
『月の影 影の海』のラストシーンでの迷セリフ。
あのおかげでハートを見事に射抜かれましたね。
「裸で御前にはまかりかねる」
うひょーッ!!
何そのセリフ何そのセリフ!?
結構恥ずかしいことを言っていると思うのに、ちっとも恥ずかしげなく憮然と言い放つ景麒。
その憮然さに惚れました。
(あ、そういえば楽俊が裸になるシーンもあったな。『月の影 影の海』は印象的な裸シーンが二つも…。)
あとね、あとね、『風の万里 黎明の空』での陽子とのやりとりもよかった。
初めの方の一触即発みたいな言い合いのシーンも良いし、景麒が陽子を心配して様子見に来るシーンも良いし。
ああ、やっぱり景麒は陽子のことが大好きなんだなぁって…。
なんか麒麟とは思えないくらいの失態ばかりの彼ですが、やはり本性は麒麟ですもんね。獣ですもんね。私の中では、飼い主にじゃれつく猫のイメージがとても強いです。陽子と一緒にいるときの景麒は、麒麟としての例に漏れず、やっぱり幸せいっぱいなのでしょう。
『風の海 迷宮の岸』での、彼にしては珍しく泰麒を可愛がる景麒にも思わずドキッとしました。まぁ、いわゆる兄弟ですからね。麒麟達は。