白汕子
泰麒の女怪。女の上半身に魚の首、豹の下半身に蜥蜴の尾という姿をしている。
女怪とは、麒麟の乳母としての役割を果たす人妖のこと。麒麟が成獣になると、使令としてその身を守護する。非常に情が厚く、母のいない麒麟にとって、まさに母の代行を務める存在である。
女怪は、よりたくさんの獣の入り混じった姿であればあるほど、優秀だとされるという。なので汕子は良い女怪だとされていたが、その彼女が守り育てるべき泰麒は、非常に誕生が稀だという黒麒。改めて、泰麒は本当に特別な麒麟なんだなぁ――って思わされます。
泰麒に対して健気で、盲目的なほどの愛情を注ぐ汕子。その献身ぶりと、とても人や獣が交じり合った奇妙な外見が私のツボでした。
『十二国記』の外伝である『魔性の子』では、泰麒を愛しく思うあまりに道理を見失い、残虐な行為を行なってしまった汕子ですが、所詮彼女にとって泰麒以外のものはどうでも良い――という一途なところが、切なくて惹かれます。
『風の海 迷宮の岸』での汕子誕生のシーンは、とても印象強かったです。生まれて第一声が「泰麒」で、涙を零しながら、泰麒の入った金色の卵果を愛撫する様は、子の誕生を希う母のようで、何だかじーんとしました。
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