恭国の麒麟で宰輔。普段は銅色の金髪、がっしりとした体格で、お人好しそうな顔の男の姿をしている。優美というよりは朴訥という印象が強い。珠晶を王として選定。
ある意味、泰麒の次に不憫かもしれない
という
彼が登場する話(『風の万里 黎明の空』と『図南の翼』のみ)では、悉く殴られています。
あれ…?麒麟って、物凄く尊い生き物じゃなかったっけ…?麒麟の上に立つのは、天帝とその麒麟が仕える王の二者のみ。普段は人民から敬い崇められていても、主人である王にとっては従者でしかない。恭国の主従の場合、供麒は王の補佐というよりもむしろ王のストレスの捌け口になってしまっている。
雁国の主従である尚隆と六太は、同郷(蓬莱)で性格が似ている分、王宮からの大脱走劇を繰り広げるという日常において、むしろ共犯という印象が強いです。
慶国の主従である陽子と景麒は、
範国の主従である藍滌と梨雪は、本当に深く
そうした他国の主従関係に比べ、恭国の主従関係は異彩を放っています。――いや、皆異彩を放っているような気がしないでもないが。
珠晶はただ単にストレスが溜まったから折檻しているというわけではなくて(折檻…生々しい単語だ…)、ちゃんと理屈があるんですよね。一度目の折檻は「あんたがもっと早くあたしを迎えに来とけば、こんなに人が死ぬことはなかったのよ!?」で、二度目の折檻は「あんたねぇ、何であんな我儘公主に同情ばっかすんのよ。麒麟なら麒麟らしく自国の民を憐れみなさいよ!!」。うん、ちゃんと理に適っている。(あれ?そういや作中で供麒が殴られたのって、二回だけだ…まぁ、登場回数が少ないしな)
そう考えると、なんか慶国の主従の方がもっと緊張感溢れる感じがします。精神的にお互い傷つけ合うという感じで。(でも一応解決はされたのかな?)
景麒はタチ悪いですよね。言うべきことを言わず、ため息ばっかり。皮肉の塊みたいな麒麟ですよ。麒麟とは思えない。泰麒の爪の垢を煎じて飲ませてあげたいです。あ、更夜が持ってるかな。泰麒のエキス入りの水を。(アニメ『風の海 迷宮の岸』より)
珠晶
恭州国国主、供王。姓名は蔡晶。元は豪商の娘だったが、若干12歳で昇山し、登極した。治世九百年に及ぶ。
先新や尚隆から見ればまだまだなんだろうが、九百年ってのも大したもんだよ。どうも『十二国記』を読んでいたら、時間的感覚が多少鈍ってしまう。
珠晶のキャラはかなり好きです。陽子、楽俊という正統派な主人公が続く中(尚隆もある意味王道なキャラだし)、それまでの『十二国記』が持っていたものとは別種の雰囲気を纏うのが、この珠晶。
12歳(蓬莱で言うと小学六年生だよ!?)の若さで蓬山行きを決意し、戸惑う大人達を自らの運気に巻き込みながら(その強運こそ王たる証♪)、遂に王としての選定を受けます。ところが、漸く探し当てた供麒を目の前にしたとき、珠晶の脳裏を過ぎったのは、長く険しい黄海での旅路――珠晶は思わず供麒を殴ります。そうして供麒の受難の日々が始まった…。
麒麟だからといってエコヒイキしない。相手が誰であろうと(珠晶の場合たとえ天帝であろうと)、対等に扱う。それが珠晶の考え方。12歳という子供でありながら既にそういう考えを定着させているところがまた、珠晶の凄いところ。見事に大人顔負けですよ。
そんな気丈な珠晶が、旅の最中頼りにしたのが、頑丘と利広。この二人もまた珠晶の運気に巻き込まれたわけですが、この二人の前では、普段は大人ぶっている筈の珠晶は子供らしさを垣間見せます。それはやはり、その二人が珠晶にとって大切な仲間達だからなのでしょうね…。
珠晶が活躍する『図南の翼』には、なんと犬狼真君が登場します。それこそまさしく、雁国が妖魔を恐れない平和な国になるのを黄海で待つと誓った、更夜の姿なのでした――。更夜の最新情報、更新です。
ユーリは凄いなぁ――って思いますよ。あれがまだ古代日本や古代中国辺りなら、何とか対処できるだろうが、召喚された先が紀元前14世紀のヒッタイト王国ですよ。私は世界史に詳しくないのですが、ヒッタイトと言えば製鉄法を手にしたってことくらいしか知りません。あと、近隣諸国の歴史に関しても、ツタンカーメン王は若くして亡くなったとか、彼と彼の奥さんは実は結構仲良かったとか(徳川家茂と和宮のような関係だな)、ラムセスって王様がいたとか、それくらい。私だったら間違いなく即・生贄にされてるね。
主人公ユーリは、なんか物凄い娘さんだな。短期間で剣の達人になるし、恐ろしいほど身軽だし、「象牙の肌」だそうだし、知略家としての才能も持っているし。まぁ、だからこそ召命を受けたという感じがしないでもないが。
カイル皇子(私の中では皇帝ではなく永遠に皇子)も、格好良いわな。しかも愛妻家ときた。一夫多妻制が当たり前のあの時代で、奥さんは正室のユーリ一人だけってのはかなり高ポイント。今時(いや、過去の人だけどもさ)いないよ、あんなお兄さん。おまけに美形だし、強いし、賢いし。完璧だなーオイ。
ナキア皇后は、典型的な悪役。皇后としての権力をフル活用して、息子ジュダを皇帝に据えるべく、カイル達皇子を抹殺しようと画策…。けれど、彼女には彼女の信じる道があったわけで、執念深くユーリとカイルの命を狙う様には、共感すら覚える…(悪役に共感抱くなぁ!!)
神官ウルヒは、金髪碧眼という端麗な容姿がツボ(結局はそれかよ)。途中からは隻眼になって、なおツボ(丹下左膳や森の石松みたいだ…v)。そして、ラスト辺りで明らかにされる彼。か、かかか宦官かよぉ!?――って。暗く悲しい過去を抱えた彼にとって、ナキアの存在は一筋の光だったのでしょう…。たとえ捨て駒にされても構わない、触れることさえかなわない、けれど尽くしたい――そういう健気さに、思わずじーんとなっちゃいました。きっとウルヒは、ナキアのことが好きだったんだね。初めのうちは、自分と同種の悲しみを抱えている点で共感を覚えていたけれど、いつしかそれが愛に変わってしまった――ってヤツか。人生をやり直させてあげたい人No.1です。
ラムセスは、ワイルド系で素敵なお兄さん。とことん唯我独尊的で前向きで、けれど人を見る目が肥えていて、武人としての天賦の際を持っているところがまた魅力的。ユーリにアプローチしてアプローチしてアプローチして(以下略)結局最後までフラれ続けるものの、それでもアプローチしまくるという執念深さが印象的でした。私はぁ…カイルかラムセスかって問われたら、そりゃあ後者を…。
イル・バーニは、カイルの片腕的存在の人。『十二国記』でいう朱衡さんかな。常に冷静沈着で、実は悪どいことを企んでいます的な顔だけど、人を外見で判断しちゃいけないということを教えてくれるキャラでした(見るべき場所が間違っている…)。実は歌い手としての才能を持っているという点には不意を突かれました。
ジュダは、母ナキアに似ず純朴で心優しい皇子。カイルの弟。何故あの腹黒い母親からこんな無垢な子供が生まれたのだろう――と疑問に抱いてしまうくらいの善玉です。最後の最後で、母の陰謀を阻止する為、自らの命を絶とうとしたり、自分の手で母を倒そうとする勇敢さを見せてくれました。さらに、一人称が「僕」。はははーツボにハマらせる気ですか。
涙なくしては語れないのが、ウルスラ。ウルヒに利用され、偽イシュタルとして贅沢三昧をしたウルスラですが、貧民出身だからこそイシュタルの地位に就こうとしたわけで。偽イシュタルの正体が露見した後は罪を許され、ユーリに仕えることになります。そして、カイルの部下カッシュと心を通わせることに――ですが、悲劇的な結末が彼女を待ち構えていました。ユーリが皇帝(カイルの父)殺しの無実の罪を着せられてしまったのです。ウルスラは、ユーリの身代わりとなって処罰を受ける決意をします。カッシュはウルスラを救出しようとしますが、ウルスラは頑なに拒否。そして、処刑――……。
ウルスラ亡き後、カッシュはウルスラの髪を頭に巻き、彼女の望みを叶える為に命をかけます。ウルスラの望み――それは、カイルが皇帝となり、その隣にはユーリがいるということ――。カッシュとウルスラの関係は凄く好きです。カッシュは熱血漢で結構純情。ウルスラは男を手玉にとるほど自らの美貌に自信を持っているものの、ユーリの力になれない自分をもどかしく感じている。性格が正反対の二人が惹かれ、そしてろくに愛も囁き合えないまま、永遠の別離が訪れる――せ、切ねえ…!!
ザナンザ皇子の話も切なかった。あんな好青年が、死んでしまうなんて…。ザナンザさん(名前面白いなー)は、皇子達の中でも特にカイルと親しくて、やがてユーリに心を惹かれていきます。ナキアにその恋心を利用され、操られることもありますが、ザナンザは陰から好きな人の幸せを願うというタイプで、カイルとユーリを温かく見守るわけです。しかし彼もまたナキアの陰謀によって討たれてしまい、砂漠が彼の墓場となったのです――ってあれ?ザナンザって、ちゃんと埋葬されたっけ?(飛ばし読みしてたから分かんねえな)
うわ――ん!ルサファ――!!なんか死にそうな気がしてたんだよなぁ。案の定死んじゃったよ(T◇T)。カイルの部下で、ユーリに密かに恋心を抱きます。けれど彼のユーリへの忠義心は、どちらかと言えば信仰心に近く、彼はユーリを「不可触の女神」として崇拝していたのです。その恋心を利用され、欲望が増幅するという秘薬を飲まされ、ユーリを監禁するものの、たとえ操られていてもその信仰心は凄まじいほどに厚く、ユーリの足に口付けをしたまま――ザナンザ皇子とは正反対じゃん!!ってツッコミはあえてしません(いや、してるって)。最後の最後までユーリに忠実で、その命を守る為に自分自身を投げ出す――「その意気や良し!!」(クラふうに/いつか『プラネットラダー』についても語ろう…)
それにしても、ルサファはユーリに触れられる度に「あーもう死んでいいやー」「あーもうこのまま昇天したいやー」と思い至るようですが…至上の幸福感に浸りすぎですよルサファさん!!
黒太子。彼も格好良かった。このおじさん、良い味出してるよー。ラムセス軍との戦の前に再登場したときの雰囲気が何となく『十二国記』の頑丘っぽかったような気がしないでもない。黒太子の方がもっと無慈悲だけどな♪いやーははは。黒太子ねー。本当に凄く格好良いんだよなー。(こればっか)って、あれ?私、おじさん好き?
結局誰が一番好きなのかって?一人だけに絞るなんてことはできませんよ。優柔不断なんです。
好きなのはジュダとイル・バーニとムサファとカッシュとラムセスと黒太子辺りかなー。さんざん悩んだ挙句(悩む必要ないのに)、ラムセスにするか黒太子にするか考え中なのが現状です。
同情しているという点では、ウルヒが一番。女キャラではウルスラかなー。
あーファンブック欲しいや。買おうかなー。
その漫画とは、
天は赤い河のほとり
この漫画と初めて出会ったのは、小学生の頃。連載を開始したのもその頃かな。でも、当時の私はまだ幼かったので、『天は赤い河のほとり』の内容は難しすぎた。小学生には、どちらかと言えば、同時期連載していた作品で主人公が異世界へ飛ばされちゃうという点で共通している『ふしぎ遊戯』の方が分かりやすくて人気が高かったんじゃないかなぁ。でも母は、『天は赤い河のほとり』が大好きでした。私も、大人の視点から本を読めるようになった今、再読してみると、印象が以前と全く違っていました。ずっぱまり警報発令ですよ。
これは、ユーリ(夕梨)という名の少女が、ある日突然紀元前14世紀のヒッタイトという国に飛ばされてしまうという物語(ツタンカーメン王辺りの時代)。ユーリを召喚したのは皇后ナキアで、ナキアは第六皇子である息子ジュダを皇帝に据えることを願っており、兄皇子達を呪い殺す為の生贄として、ユーリを呼び寄せたのです。混乱しながらも逃げ出したユーリは、ナキアが最も危険視している第三皇子カイルと出会い、(あくまでも表向きの)側室となってナキアの魔の手から守られることとなるのですが、陰謀渦巻く中、ユーリは次々と戦場や戦場でない場所で活躍し、戦いの女神イシュタルとしての名を轟かせ、やがてカイルとも愛し合うようになります。
少女が召命を受けて異世界へと召喚されるといった物語は、私のツボです。見知らぬ異郷の地で、わけも分からず運命に翻弄されていくうちに、やがて自分の生きるべき道を見出し、才気を発揮していく――生まれ育った世界とは全く別の場所で自分自身の価値に気付き、居場所を見つけられるというのは、恐らく誰もが一度は憧れることでしょう。
そういえば、こういうタイプの漫画で私が知っているものって――今思いつくものだけで『ふしぎ遊戯』と『天は赤い河のほとり』くらいかなぁ。ゲームだったら『遥かなる時空の中で』シリーズがあるし、小説だったら『十二国記』シリーズもある。(まぁ、『十二国記』は召喚されたというよりもむしろ本来いるべき場所に連れ戻されたわけなのだが)
慶国の民。固継の里家に弟・桂桂と共に住んでいたが、昇紘による里家の襲撃の際命を落とす。
ああ、蘭玉……。
陽子にとっては、初めての同性の友達でした。陽子とは対照的に、素直で明るく、前向きな性格。弟の桂桂を心から可愛がっていて、陽子にも親しみを覚えています。
ですが……故人になってしまいました。陽子はそれで、蘭玉の代わりに桂桂の保護者となり、彼の成長を見守ることになったのです。
もし蘭玉が生きていれば、陽子の良き相談者になっていただろうなぁ。陽子自身も、蘭玉亡き後もずっと好意を寄せていて、梨雪こと氾麟が蠱蛻衫(範国の宝重で、薄い紗の衣。着ると、見る者が好ましいように見える)を纏ったとき、その姿が陽子には蘭玉に見えたという……。
話は変わりますが、アニメで蘭玉の声を担当していた声優さんは、『遥かなる時空の中で』シリーズの主人公――。