朱衡
尚隆の臣。氏は楊、字は無謀。色白で痩身の優男。雁国の御史、さらに朝士、後に大司寇、大宗伯を歴任。
朱衡さんがいなければ、雁は滅びるかもしれない
――と思ってしまいます。尚隆の片腕的存在?であると同時に、ツッコミ役でもあります。重要なポジションですな。
普段は冷静沈着な彼ですが、実は激情家でもあります。登極間もない尚隆に挑戦するし。
しかも無謀!字が無謀ですよ!
尚隆さんって、本当にネーミングが面白い。六太には馬鹿、朱衡さんには無謀、他にも猪突やら酔狂やら。しかもそのような字にもきちんと由来があるものだから、面白い。見事に的を射ていますね。
それにしても、雁国の主従関係って素敵ですよね。王と臣の距離が近くて。いや、近すぎなのかもしれませんけれどね。(臣から「莫迦」「呑気」「うつけ」と罵られてますよ、尚隆さん!)
慶にも、そういった傾向がありますよね(雁ほど粗悪ではないが…)。反乱で知り合った者同士(虎嘯曰く「同じ釜の飯を食った仲」)だから、気安さがあります。でも、やっぱり相手は王だから、状況によってはきちんと敬意を払う。『風の万里 黎明の空』で、陽子が李斎を助けるかどうかの判断を下すのを、仲間(臣というより朋輩といった感じですよね)が陽子を信じて待ちながらも、それでもやっぱり心配で、そわそわしているシーンには思わず噴出してしまいましたよ。
ああ、それにしても雁国民になりたいなーってときどき思うのですけれど。それも王宮仕えで。そして日々、尚隆と六太VS家臣一同の大乱闘を眺めていたいです。(そして最後は朱衡さんが王と麒麟に拳骨を食らわす、というコント的なものを所望)
駁更夜
荒廃の中で捨てられた子供。妖魔天犬に育まれた。髪は青みを帯びた黒、外見は15、6歳の少年。延麒六太に出会って名付けられ、元州令尹・斡由に拾われて射士となる。元州の乱後、黄海へと旅立ち、百年の後に天仙として昇仙。黄朱の民に里木を与え、黄海の守護者・犬狼真君となる。
更夜、来た――っっっ!!!
『十二国記』シリーズの中で、私が最も愛情を注ぐキャラ。
波瀾万丈の劇的な人生を送り、現在は妖魔の巣窟で隠居(?)生活中。少年時代に仙籍に入れられたので、どれほど年をとっても外見はピッチピチの美少年。美貌は保たれたままです。(病)
『東の海神 西の滄海』を読んだときは、「なんか今までの登場人物とは雰囲気の違う、変わった人だなぁ」と思っていたのですが、アニメを見て思わず惚れた。だって、あの声…! 石○彰のあの声…! 色気ムンムンで、心拍数がヤバいことに…!
衝動的にDVDを買ってしまったほどであります、ハイ。
アニメ版『東の海神 西の滄海』のラストシーンより。
「そんな世が本当に来るだろうか……?」
と、涙ながらに尚隆に問いかける更夜に悩殺されました。
あと、
「ずっと待ってるから――」
と言い残し、天犬ろくたと共に去っていくシーンにも、見事にヤラレました。
自分を孤独から救い出してくれた斡由に、盲目的なほどの信頼を寄せ、自分の手を汚していく更夜少年。(私の中では、彼は未来永劫、無垢な少年のままです。)
彼は、自分も人間の群れに入りたくて、その為に心を空っぽにして斡由に従い続けたのでしょう。
ああ…! なんて可哀想な子なの、更夜は…!?
そんなに一人ぼっちが嫌なら、私が傍にいてあげるのに…!!(病んでいます)
戴極国国主、泰王。姓名は朴綜。髪は青みを帯びた白銀、瞳は真紅、肌は褐色。元は禁軍左軍将軍だったが、昇山し、泰麒の選定を受けた。武勇、知略ともに他国に名高い。反乱の折から行方知れず。
彼は、今、何処にいるのか。
私が現在抱いている『十二国記』シリーズ中最大の疑問です。
こればっかりは、新作を読まなければ分からない。
早く続きを出してくれ……!!
陽子と同じくらいに外見が派手で見応えのある、王として相応しい容貌だと思います。おまけに、尚隆が一目置くほどに強いし。
武断の王で、「覇王」といったイメージを抱いています。けれど本人はとても頭が良くて、計算高い。
意外と謎めいたところがあって、常に自信に満ち溢れている感じがするのですが、ふとした瞬間にそうした自分への不安感を抱えている節を垣間見せてくれます。『風の海 迷宮の岸』で、焚き火を見つめながら泰麒と語り合うシーンとか、特にそんな感じ。
やはり彼も人間なんだなぁ――って思いました。完璧そうに見えて、でも実は無力感を覚えることだってあるし、自分のやり方に疑問を抱くときだってある。
ある意味、尚隆とも似ているかと思うんです。尚隆も、普段は飄々としていて捉えどころがなく、まるで風のような生き方をしていて、けれど自信が漲っているような感じがするのですが、『東の海神 西の滄海』で、民と国とを守れなかったことを嘆いているというシーンを見て、切なくなりました。
人は完璧を求めるけれど、完璧にはなれない――まさに『十二国記』で作者が言わんとしているテーマに近いものですよね。
蓉可
蓬山に住まう女仙の一人。かつては泰麒の世話役だった。
結構マイナーなキャラかもしれない蓉可。何故かとてもとても好きなのです。
「女仙」と聞くと、何やら神聖なイメージ(碧霞玄君・玉葉のような感じ)なのですが、蓉可はまだまだ垢抜けておらず、『風の海 迷宮の岸』の時点では(というか、この話にしか登場しないが)女仙としてはまだまだ新参者といった感じで、何となく親しみを覚えてしまいます。
その蓉可が昇仙した理由だって、「俗世に馴染めなかった」という、誰もが必ず一度は悩むであろう単純な動機なだけに、他人事じゃないような気がしてしまうんですよね。
蓉可は、泰麒の世話役を任されることになったものの、その泰麒は蝕に巻き込まれて行方知れずに。
蓉可は、傷心の汕子を労わり、自身も泰麒の生存を諦めながらも、ずっと泰麒の為の宮を整えていた――。
健気じゃありませんか!
あー。私もなりたいなー。女仙に。
泰麒の使令。その正体は、殆ど伝説化されていた最高の妖魔・饕餮。普段は赤い犬の姿をしている。
傲濫……!
班渠と同じくらいに、私の大好きな妖魔です。
神獣である麒麟でさえ折伏は不可能だと言われてきた饕餮を、偶然発見してしまった泰麒は、驍宗を守りたい一心で折伏を実行し、(それが生まれて初めての折伏で、自分が麒麟だという自覚を未だ持っていなかったにもかかわらず)見事使令として下すことに成功しました。
この傲濫、無尽蔵の妖力を秘めているからこそ、その姿形は千差万別。普段は赤い犬のような姿をしているけれど、初登場時で泰麒と睨み合っているときは鎌のような腕を持っていたし、泰麒が使令として下した直後は泰麒の望む通りに子犬の姿をしていた。つまり、どのような姿にも変身できるということ。
良いじゃないの。好きな姿に変身できる上、めちゃくちゃ強くて、言葉も喋る。ゼヒゼヒ使令として欲しい妖魔じゃないの。(しかし泰麒でなければ下せない…)
それにしても、泰麒が物凄い麒麟で良かったね、驍宗さん。普通の麒麟だったら、間違いなく全滅していましたよ。
驍宗危機一髪だね☆
そういえば、饕餮って龍生九子の一つだよね。饕餮の巣穴を発見したとき、驍宗と李斎が、ここは龍穴じゃないか云々――とか言っていたけれど、それは正解だよ。饕餮は龍の子だから。